2026.09.08

トビタテ留学JAPAN ネパールで見つめた「医療」と「暮らし」――出会いと経験から得た新たな気づき(後編)

高校1年生 神原 歩野香

前編を掲載してから、ネパールで大きな災害が発生しました。幸い、お世話になったスタッフさんなどは無事だと分かりました。 ですがネパールは私にとって初めての海外であり、あの災害が起こるわずか10日前まで自分が訪れていて、たくさんの人と出会い、たくさんのことを私に教えてくれた特別な場所です。 留学中、私はあの川の下流沿いを何回も長時間にかけて移動したり、探究活動の一環として川を視察していました。 このような形でネパールがニュースに出てくるたびに胸が痛み、本当に色々なことを考えさせられます。 被害に遭われた方が、1日でも早く安心して生活できることを願っています。

ここからは前編に続いて、2,3週目に医療ボランティアで経験したことについて紹介したいと思います。 医療ボランティアでは大学病院で興味のある診療科を周り、カルテを見せてもらったり、お医者さんや看護師さんとお話したりして、活動を進めました。 初めての海外で、英語の会話にはとても不安がありました。元々英語で会話することは得意ではないのに加えて、ネパールの第一言語はネパール語で日本と同様で英語ではないので、ネパールの方の英語は独特のアクセントがあり、さらに医療単語が次々と飛び交っている中、正直ちゃんと会話をできた数の方が少なかったと思います。それでも、分からないときは聞き返したり、伝え方を工夫すると伝わることも多く、少しは英会話の自信にも繋がったのかなと思います。

医療活動2日目には、手術室に入って胆嚢摘出手術と帝王切開の手術を見させてもらうというとても貴重な体験をさせてもらいました。中に入るとお医者さんが地べたに座ってTikTokを音ありで見ていたり、マスクをしていない人もいたりして戸惑いました。 日本とネパールの病院の衛生環境の実態を知ることができ、私のテーマにも関係する学びになりました。 また手術室の中に入れてくれたお医者さんが、一つ一つ手術の手順を説明してくれ、こんなに手術している真横で喋ってもいいのかと最初は戸惑いましたが、それも含めて良い経験になりました。

実は、留学3週目にはネパールに来てから2回目に体調を崩し、高熱が出たことがありました。初めての海外で高熱が計5日も下がらず、一時は日本に帰れないのではととても不安でした。まさかの自分の活動先の病院に患者として行き、検査を受けることができましたが何も異常はなく、無事に日本に帰ってくることができました。 どうすれば良いのか分からなく不安だった中、ネパールのスタッフさんが付きっきりで対応してくれとてもありがたかった一方で、私が想像していたこととは異なる部分もあり、戸惑いを感じることもありました。 体をタオルなどで冷やした後に一時的に体温が下がったことから「熱は下がった」と考えられてしまうことや、「人に感染るかもしれない」という考え方があまり根付いていないことなど、感染対策に関して、日本で私が経験してきた考え方との違いを感じました。 何も病気にならず健康に過ごすことが1番ではあったのですが、今回私が体調を崩したことで医療現場を見学しているだけでは分からなかった、患者として感じる不安や、地域による感染症の価値観の違いについて考える機会になりました。

今回のネパール留学では、体調不良で活動できる日が大幅に減ってしまったり、語学力の問題で思うようにコミュニケーションが取れなかったりと、全てが思い通りに進んだわけではありませんでした。しかし、そのような中でも、実際に現地で生活し、建築や医療の現場を自分の目で見ることで、考えているだけでは得られなかった多くの気づきがありました。

今回の経験を通して得た気づきも、これから自分のトビタテでの探究について考えていく中で活かしていきたいと思います。